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日記。観たもの、聴いたもの、読んだものについて思い浮かんだこと。感想はネタバレを含んでます。

ドラマ『石子と羽男』3話

石子と羽男 3話感想

※ネタバレあり

 

 

事案 ファスト映画問題。2話の終わりに予告を見た時から早く見たいと思った興味深いテーマ。

ストーリー展開と映画監督のセリフから、日頃映画上映にまつわる不安なニュースのことなどを思い出して、自分でびっくりするほど泣きながら見ていた。

 

でも、潮法律事務所の皆様と塩崎さんのコミカルなやり取りで頭がいっぱいになり、泣きながら妙なテンションで頭を抱えたぐらい、最高に面白かった。

 

 

あらすじ|TBSテレビ 金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』

 


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事案 ファスト映画問題

冒頭の寸劇が毎回楽しみ。今回は映画にまつわるテーマだからか、映画泥棒さん登場。違法ダウンロードする人役に中村倫也さん、警官役が有村架純さんでうれしいの極み。

 

 

・悪意なしで10分に切り取られた動画で作品全部を観たと考える人や投稿を目立たせたい人と製作側やファンとの考え方の違いと、著作権侵害は有料無料の違い無く対象になることを明確に描いていた。

・日頃気になっているSNSの感想や映画レビューサイトの悪影響を描いていたこと。現実で2週間すぎたらすぐに上映回数を減らしたり、打ち切りになることへのモヤモヤとリンクして嗚咽号泣。

・山田監督のセリフも全部グッと心に響いて泣けた。でんでんさんの雰囲気と口調で涙が止まらなくなった。

・山田くんは裁判を受けて釈放されたが、結局、監督に土下座をして誤っても許してもらえなかった場面。法廷外での短い会話で本当の裁きを受けた厳しい結末。もう一人のファスト映画投稿者も、監督が解雇したと石子ちゃんのセリフでわかった。履き違えた映画愛の示し方から映画に係われなくなってしまった二人の結果に胃に穴が空きそうなぐらい重い気持ちになった。

SNSで可視化される顔が見えない相手からの残酷な声の怖さ。

 

 

目が離せない羽男さん。

・国選弁護人に選ばれた羽男さんの計画と、山田くんの考えていることが真逆で接見中に何回もフリーズしかけたり、顔がひきつりながらギリギリ耐えた羽男さん。

・なんとか執行猶予を取り付けるために、法廷では反省している様子を裁判官へアピールするよう仕向ける羽男さん→第一回公判で本人が何が悪いのかわからないと暴露してしまい失敗。公判中にフリーズして、手が震えだした羽男さん。

・監督が山田くんの名前と似ていることからSNSで炎上していることを告げてもなおファスト映画は喜ばれていると信じて疑わない山田くんに、もう無理!へへっ!と眼鏡を投げて諦めた羽男さん。

・石子ちゃんがこれしかないと練った策を、バツ悪そうに弱々しくお願いして教えてもらった羽男さん。石子ちゃんの煽りが最高。二人の連携によってしっかり山田くんは悪いことをしたことに気がついた。いつも石子ちゃんが”以上です。”で終わるところまで、羽男さんが再現していて面白かった。

・石子ちゃんが近くにいなくても、羽男さんの頭に石子ちゃんの言葉が記憶されれば、フリーズすることなく問題解決に向かえることが示された。

→その後8話と10話で石子ちゃんが不在かつ台本なしの状態では手が震えだすことが明確になり、羽男さん自身、石子ちゃんがいないと法廷では半人前にもなれないと認めた。

 

 

個人のルール

1話は人間関係を円滑にする為のルールが法律であるとして始まった。その後、2話で社会のルールより我が家のルール、3話では判決とは別に身内での解決や個人のルールが下した結果の描き方が、法律に頼る前にそもそもひとりずつのルールが問題に対処する時にどんな影響を起こすのか、人の生活は全て裁判で白黒決着がつけられるものではないことも表現しているのが印象的だった。

 

SNSの誹謗中傷も結果ではないが、風評被害みたいに社会の中のその人の立ち位置を真実関係なく決定づけてしまう。ある意味、法廷外での裁かれ方を表していると思った。ずっと消せないデータで炎上の巻き添えをくった羽男さんが今後の展開に影響なければいいけど…。

 

石子のルール、羽男のブランディングやドヤ顔で言い放った"やり方"も繰り返し出てくるキーワードなので、これからの展開にどう活かされていくのか、それとも変化するのか楽しみになってきた。

 

 

家族との関係

羽男さんと家族、相当しんどい。

イッセー尾形さん、MEGUMIさん、中村倫也さんは、表現の匠の業師のキャッチボールみたいにバチバチな面白さがあった。

裁判官泰助さんの押し付けがめちゃくちゃしんどい。メンタル的に苦しそうな羽男さんは、潮法律事務所での振る舞いからは想像できない。有能なお姉さんからのビシバシ口撃もあって、子供の頃からあの押し付けで育てられたら失敗への恐怖でフリーズするし手も震える。1話で綿郎さんに何か原因になることがあったとほのめかしてたので、何があったかを描いてほしい。願望としては、"きみはできる子"呪文が、実は羽男さんの本当に突出した本質を見抜いているパターンであってほしい。

全身派手派手なハイブランドで揃えてるのは目の保養になって視聴者としては面白いけど、羽男さんにとっては、成功か失敗かだらけの世の中で生きていくための盾のように思えてきた。だから余計に自宅でのユルっとしたシンプルなスタイルを見たらホッとできる。

 

石子ちゃんは、商売気のない綿郎さんとは違う!と反論しているけど、困ってる人、傷ついた人の手助けがしたい部分は似ている親子だと思う。山田監督に何かできないか屋上で悩んでいる時に綿郎さんが少しアドバイスをするやり取りが親子のようにも、法律家の師弟のやり取りにも見えて、とても良い関係性に見えた。どうしてお母さんと二人暮らしになったのかが描かれていないので、その辺りもこれからの展開が楽しみ。

 

 

ネットニュースにもなった例の羽男と石子の電話シーン。

『石子と羽男』何度も見たい電話シーン、中村倫也のオフ感と詰め込まれた味わい深さ | ドワンゴジェイピーnews - 最新の芸能ニュースぞくぞく!

 

二人とも、電話になると普段のトゲトゲがなくなって素直に語り合うのが面白い。見方によって彼氏感炸裂な会話だけど、弁護士が何を重要としているかを表していると思った。石子ちゃんが豆苗を眺めながら、ゼロになった人の人生もまだ続くと語った一連のセリフがとても良かった。その言葉に真剣に耳を傾けた羽男さんの様子も興味深い。人の手助けをしたいと思う気持ちは似ているから良いバディ感になってきてるような…。ここから、ラストの空を見上げて並んで歩くシーンの雰囲気の良さにもつながっていた。

 

気になったカットは一時停止やコマ送りで見たいので、この電話シーンの最後に羽男さんの着歴画面がアップになったのを止めて確認してしまった。この夜?、着信が石子ちゃんだらけなように見えた。どういうこと???電話に出た時の羽男さんが不機嫌だったのは関係あるのか?

 

 

1時間もないドラマ1話で情報量パンパン。これからどうなるのかめちゃくちゃ楽しみ。