lensdiary

日記。観たもの、聴いたもの、読んだものについて思い浮かんだこと。感想はネタバレを含んでます。

去年狐晴明九尾狩を観た後に思ってたこと

 

ちょうど1年前、狐晴明九尾狩大阪公演を観劇した後に、ふせったーへ投稿していたこと。Blu-rayに収録されている本編は東京公演だけど、観ながらその時のことを思い出した。狂ったように興奮してたな…。

ネタバレあり。

 

劇団新感線 狐晴明九尾狩

 

安倍晴明中村倫也さん

賀茂利風(パイ・フーシェン)…向井理さん

蘆屋道満千葉哲也さん

 

 

2021.10.30 昼公演

晴明とパイの対決の時、晴明が心の中から必死に利風へ呼びかけているように見えていた。その後、感情を失った晴明の佇まいと慈愛を感じさせる雰囲気が、劇場内を静かに暖かい気持ちいっぱいで包み込んでいたようで、じんわりと感動できた最高のラストだった。

 

2021.11.6 夜公演

6日夜の晴明先生、30日昼に観た時より感情の波の大きさが激しく炸裂しているように見えた。

 

パイフーシェンと名を知っても、ほぼ終盤までパイの名を呼ばず、利風としか呼んでないことに気がついて、意識して見るようにしてみたら、笑える場面の時でも心の底で九尾ブッコロスと狙ってるように見えてきて、晴明がただごとでは済ませないと決めたら確実に殺るんだなと。逆鱗に触れたらめちゃくちゃこわい晴明先生と思った。

 

普段アヤカシたちへもフラットに接する晴明なのに、利風を失った哀しみと怒りで、パイはただの妖狐でしかなかったのか。道満は技とパワーが一番強いけど、意外なところで情に厚く、敵を逃したりするかもなイメージ。命を粗末にするものを容赦なく確実にしとめるのは、晴明の方が勝ちそう。恐ろしく冷静な判断と実行力が突出しているから、留学前の利風は晴明に全信頼をおけたのか。


クライマックス
30日のマチネ以上に、声も肩も震わせて涙流してる晴明と利風の姿が神々しすぎて、また私の頭は別次元に吹っ飛ばされた。
パイは晴明の感情を喰って去ったけど、もし喰らわれる前に、晴明がその感情に呪をかけてパイが蘇らないようにしていたら、めちゃくちゃカッコいいなと想像した。


パイがあの後どうなるか考えてる。利風と晴明の感情はどんな味がしたのか。
私の妄想では登場人物の中で一番心の闇が深いのは晴明なので、晴明の感情の闇の強さに相当苦しむんじゃないか。食当たり的な。

 

利風が大陸に渡る前の葛藤は、晴明を超えたい気持ちもあるけど宗家の跡取りとして育ったことで、帝中心の都を護る(組織の中で働く)のを重視しすぎて、型にハマりすぎていたことかも。大災厄を目の前にした人が生き残るためには、晴明の技量と行動力が本当に必要で、大陸でこれまでのやり方は通用しないとを実感したから、自分の身を投げ出してまで晴明に未来を託したのかと思うと余計に泣けてきた。

 

晴明、子供の頃に無意識に湧き上がる感情を封印して、コントロールしてきたのではないかと想像してる。芯の強さもあるけど、悲しい涙は流さないようにしたのか、悔しくて泣き過ぎてもう涙は流さないといつか決心したのか。泣いたのか…僕が、の1回目と2回目の違いを想像して、またしんどい渦にハマってる。
もしかして、子供の頃、利風に辛い時泣きたい時ははぐらかさないで我慢しないで泣けとか言われてたりして。ラストを見ながら、仲間が増えて本当に良い終わり方だと思った。