lensdiary

日記。観たもの、聴いたもの、読んだものについて思い浮かんだこと。感想はネタバレを含んでます。

ミュージカル「ルードヴィヒ」雑感その3

ミュージカル「ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~」

観劇と配信鑑賞にて その3

ネタバレしてます。

 

いまになって、ストーリー🎼

公式サイトより引用

残り少ない人生を前に書かれたベートーベンの1通の手紙。そして、その手紙が一人の女性の元へ届く。聴力を失い絶望の中、青年ルードヴィヒが死と向き合っていたまさにその夜。吹きすさぶ嵐の音と共に見知らぬ女性マリーが幼い少年ウォルターを連れて現れる。

マリーは全てが終わったと思っていた彼に、また別の世界の扉を開けて去っていく。新しい世界で、新たな出会いに向き合おうとするルードヴィヒ。
しかしこの全ては、また新たな悲劇の始まりになるが…。

 

musical-ludwig.jp

 

走り書き感想

📝 ミュージカル「ルードヴィヒ」観劇とりあえずメモ - lensdiary

📝 ミュージカル「ルードヴィヒ」雑感 - lensdiary

📝 ミュージカル「ルードヴィヒ」雑感その2 - lensdiary

 

 

11月19日の昼と夜、大阪 シアタードラマシティで観て、その後、11月30日仙台公演大千穐楽アーカイブ配信を見て、1週間少し経ったけど、まだまだ余韻に浸ってる。記憶が薄れていくのが哀しくて仕方ない。客席から観たとおり、聴いたとおり、その時の空気感も再生できる頭が欲しい。

 

木暮真一郎さんとピアノとバイオリンとチェロ

ルードヴィヒのミュージシャンエリア(下手側に木暮さんピアノその後ろのひな壇にバイオリニストとチェリストの方)を見て、歌舞伎の義太夫さん方が座る黒御簾越しを思い出した。歌舞伎でも、その中から三味線や唄が聞こえてくるとワクワクする。ルードヴィヒも、センターのキャストさんから目が離せないのに、下手側から素晴らしいアレンジのアンサンブルが聞こえてきたり、弦を構えられる動きが視界の端に入った瞬間から、ステージの端から端まで目をあちこち動かして見たくなったほど、ミュージシャンエリアも気になった。

(たぶん私が観た11月19日昼と夜は、バイオリンが三國茉莉さん、チェロが伊藤修平さんだったと思う。)

 

中村倫也さんはじめキャストさん全員の想像以上の熱演にとても驚いたが、木暮さんの、ある作曲家の青年の表現のまま、完璧にピアノ演奏をやりきるぶれなさも驚異的だった。その青年はシューベルト。開幕して初めに登場する作曲家の青年が、誰もいない教会内でピアノを一音鳴らして響きを確認してから弾き始めたのがアヴェ・マリア(エレンの歌第3番)のイントロ。この曲でピンときた人は、ここで木暮さんの役名がシューベルトと気づく。この曲のフレーズを最後まで覚えておくと、終盤の晩年のベートーヴェンシューベルトが訊ねて、忘れた楽譜がこの冒頭の曲だとわかり、さらに泣けた。シューベルトの生涯や、ベートーヴェンとの関わり、いつ亡くなられたか、どこにお墓があるかなどを知ると、この作品の構成を思い出すだけで泣けてくる。

ja.wikipedia.org

 

とにかく、ミュージシャンチームも演技の一員になっていたのが凄かった。ルードヴィヒの大興奮のタネの一つは間違いなくミュージシャンチームの生演奏にあると思う。中央で繰り広げられるルードヴィヒ全年代の方、マリー、ウォルター、カールに合わせて、指揮者がいないのに、あと目線で合わせることもほぼなく、でも少しの狂いもなく超正確なテンポで最後まで演奏されたのも、キャストさんの熱演をさらに効果的に押し上げてステージが最高に盛り上がった。主旋律、副旋律、リズムのアレンジが素晴らしく、キャストさんが熱く表現する心情にぴったり寄り添い(思わずこのアレンジいい!と声出しそうになった)、空間を漂うように流れたりする音の動きも、耳に入るたびにソワソワした。

 

クライマックスの第9、ルードヴィヒが薔薇の花びらを浴びながらピアノの上に立ち狂気交じりにセリフをまくしたて、2階でカールが銃を自分に向けて撃った後、バイオリンだけで歓喜の歌の旋律をゆったりと聞かせて、少ししてからすっと入ってくるチェロとのアンサンブルが本当に最高。倫也さんと福士さんの動きが気になる中、ミュージシャン3名の方もめちゃくちゃ気になって、耳と目をもっと追加したい!と思って観ていた。第9の場面が終わるとともに、バイオリンとチェロの前に仕切りがスライドしてひな壇が隠れ、木暮さんのピアノだけ、冒頭の教会に戻った。と、思う。このクライマックスからラストにかけて、大興奮で所々記憶が抜けてるので、詳細は映画か円盤を観るまで妄想にたよる。

 

youtu.be

 

開演前と退場時BGMですっかりテンションあがる

本当にこの作品は、ルードヴィヒ本人の半生と音楽そのものに深く浸れて素晴らしい。また、開演前と退場時のポストロック、シューゲイザー系の曲を使ったBGMにも個人的にめちゃくちゃ刺激されて、開演前はその3曲ですっかりテンションがあたためられ、退場時の曲(※)には本編で震え出した身体がさらに震えあがって動けなくなってしまった。

 

※退場時、座席で順番を待ってる間に絶妙なタイミングで流れた曲。

大好きなイントロ。バンド名を訳すと”勝利の薔薇”らしい。薔薇つながりで泣ける。

シガー・ ロス Untitled #1 

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ガチガチクラシック調になると思ってたので、開演前にシューゲイザーぽい曲が流れて、意外だったけど、クラシックと合う曲調のせいか全く違和感がなく、逆にしっくりきてテンションがあがりまくる始末。最後に好きで思い入れのあるシガーロスの曲って、個人的にこんな最高な演目は今までなかったので、本当に言葉にあてはめられないぐらい最高の気分になった。

 

 

(大千穐楽アーカイブ配信を見て…)

気のせいか、仙台公演大千穐楽の後半になるにつれて、キャストさん全員のノリノリ感が配信を見ながら伝わってきたように思った。特に倫也さんが動くたびに、ビートとハーモニーっぽいものが聞こえてきそうな雰囲気がした。もう最後だったからかな。めちゃくちゃハードな内容を29公演、この完走できるか予測不能なご時世の中、無事に全公演完走されたのは、本当に素晴らしいことだと心の底から思った。

 

なかなか福士誠治さんの凄さの記録にたどりつけない。

福士さん、本当に凄かった。熱い雰囲気が、さらに熱くなり、厚くなり、重厚感も増えた。倫也さんとのデュオが、ケミストリーみたいで、でもクラシックとポップミュージックぽさの両方含まれていて、本当に素晴らしかった。

思うことは、いつか書く予定のその4へ続く。

 

 

映画化!2月上映🎬

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