2021.12.5 Netflixで視聴
映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』
https://www.bokutachiha.jp/
20〜30代前半の痛い記憶は永遠に痛いまま。
痛い経験があって、今ここにいる。
色々な記憶が土台になって、今が一番生きやすい。
私にとって、
燃え殻さんが書いた原作は卒業文集、
この映画は卒業アルバムだ。
登場人物全員のイメージ、セリフ、風景から、自分の記憶が頭の中に流れるように思い出されて驚いた。劇中に起こる出来事は自分のとまったく違う。フィクションなのにドキュメンタリーを見てる感覚。
私はその頃も今も、これはこう、あなたはこんな人間と縛られるのが耐えられない。考えは違えど気が合う人たちと会える時に会って、好きなこと話して、永遠に自由だと勘違いしていたかった。
かおりがボクに冷める瞬間が、その頃の自分の感覚を思い出させた。伊藤沙莉さんの微妙な表情が最高。
その後、かおりは結婚してステキなママになっていたことをFBのおせっかいな機能で佐藤は知る。時間が過ぎて癒されることもあれば、自分だけ取り残された気分になったり、悲惨な事実をつきつけられる。
劇中、小沢健二さんのアルバム”犬は吠えるがキャラバンは進む”に入ってる曲が流れる。精密なドラムの音に耳を傾けて、流れる風景を見る。未だにスカパラ初期ドラマー青木達之さんがどこにもいないことを受け入れられてない。今の欣ちゃんの音も好きだけど、どうしても達之さんのドラムを聴きたくなる。
どれだけ通信手段が変わっても、人のやることは何も変わらない。人に会うため、いろんな道具と少しの知恵を使う。平安時代から変わってないかも。
誰かと会いたくなる衝動。
令和になって人が集まることが何かと制限された抑圧感から、一見意味が無いような出会いや会話の場面でも楽しかった日が懐かしくなった。誰かと過ごして自分の中で何かを積み上げていく。今は人と距離を置くことにしている私でも、WEBでどうにかできるようでいて、対面での空気の共有が一番強いことをこの2年で実感した。
映画公式サイトに、尊敬する物書きさん、SYOさんのコメントが掲載されている。
最後の一文が印象的。観る前はぼんやりと読んでいた。
公式コメントから一部抜粋
過去から届けられた、送辞みたいに優しい映画だ。
中学3年の卒業前に、なぜか答辞を書いて読む担当に選ばれたことを思い出した。
過去の自分へ送る答辞は、どう言おうか考えてみる。
とにかく生きてください。
他の人と違っても自分を大事にしていれば楽しく過ごせる日が必ず来ます。